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和声法ってなに?

作曲教室に一番多く寄せられるのがこの質問です。和声って言葉は聞いたことあるけれど、どういうものなのかよくわからないという方は意外と多いのではないでしょうか。「和音とどう違うの?」「ハーモニーのことでしょ?」「音楽の三要素のひとつだよね?」そんな声も聞こえてきそうです。

 

Wkipediaによると、

和声(わせい、英語: harmony)は、西洋音楽の音楽理論の用語で、和音の進行、声部の導き方(声部連結)および配置の組み合わせを指す概念である。

と書いてあります。

概念・・。

そうなんです。概念って、とてもわかりにくいんですよね。この概念を具体的なテクニックとして体系化したものを和声法、学問として研究対象にしたものを和声学と呼びますが、これらは日本ではあまり明確に区別されていないので、ほぼ同じものと考えて差し支えありません。では、この「和声」が一体どういうものなのか、そしてどんなふうに役に立つのかを、うさぎ中学校吹奏楽部のメンバーと一緒に見ていきましょう。

 

うさぎ中学校 吹奏楽部 クラリネットパート3年生

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もうすぐ引退を迎える4人は、今まで慕ってくれた後輩たちのために演奏のプレゼントをしたいと思い、クラリネットアンサンブルを組むことにしました。ところが、うさぎのみんなが大好きな月の曲のクラリネット4重奏譜はどこを探しても売っていません。後輩たちとの思い出の曲でもある「月」をどうしても諦めたくなかった彼らは、思い切って自分たちで編曲することにしました。

 

1stクラリネットの "うさ子" は、ダンスが得意なチアリーダー。
「リズミカルなアレンジにするわ♪」

2ndクラリネットの "らび太" は、ギターも弾けるバンドマン。
「オレ、コード進行わかるんだぜ!」

3rdクラリネットの "ばに恵" は、ピアノを習っているお嬢様。
「わたし、伴奏ならつけられるかも・・」

Bassクラリネットの "ぴょん吉" は、好奇心旺盛なお調子者。
「ふふ〜ん、編曲にはちょっと自信あるよ〜」

 

そして数日後、皆それぞれが編曲した楽譜の試演日がやってきました。

 

最初は、うさ子の編曲です。

再生▶︎ボタンで楽譜の音が流れます。

ダンサーらしい、ノリ重視のアレンジです。
うさぎが跳ねているような雰囲気も表現されていますね。
しかし、同じ音が長く続くので単調に聞こえてしまいます。

 

次は、らび太の編曲です。

さすが、コードを知っているだけあって様々な和音が使われています。
とくにラストの2小節の進行が素敵ですね。
でも、うさ子とは別の物足りなさを感じませんか?

 

続いて、ばに恵の編曲です。

ピアノの経験が生かされたバランスの良いアレンジになっていますね。
ただ、せっかくクラリネットで演奏するのに、1st以外がピアノの伴奏のようになってしまったのは惜しいところです。
4人それぞれが活躍できるように、もう一工夫できると良いのですが・・・

 

最後は、ぴょん吉の編曲です。

「すごいや、ぴょん吉!」「プロの作曲家みたい!」「どうしてこんな編曲ができたの?」

ぴょん吉は得意げに答えました。

「それはね、和声法を勉強したことがあるからだよ。」

 

和声の真髄

冒頭の説明では、

和声 = 和音の進行、声部の導き方(声部連結)および配置の組み合わせを指す概念(Wikipedia)

とありました。和音の進行という観点では、コード進行の心得があるらび太の編曲もよくできていましたが、各声部(パート)の動きや誰にどの音を吹かせるかは深く考えられていなかったはずです。その点、和音進行だけでなく個々の楽器の動きについても重視していることが、他の音楽理論には見られない和声法の大きな特徴と言えます。

 

ピアノやギターのように一人で和音を奏でられる楽器とは違い、歌や管弦楽器は基本的に単音しか出すことができないので、和音を奏でるには合唱や合奏という形で皆が別々の構成音を担当し協力する必要があります。らび太の楽譜を縦に切り出すとその瞬間ごとには適切な和音が鳴っていますが、横に切り出しメロディ以外のパートを見ると、あまり音楽的なフレーズとは言えません。縦(和音)と横(旋律)のバランスをとりながら、まるでパズルのように各パートの演奏すべき音を組み立てることが和声の真髄なのです。

 

和声を体系化した和声法には、様々な制約があります。例えば、特定の2パートが連続して完全5度音程を鳴らしてはいけなかったり、増進行をしてはいけなかったり、上行あるいは下行しかできない音があったり(用語の意味がわからない場合は、まず楽典から勉強していきましょう)、このようなルールを「禁則」と呼び、音の動かし方を制限しています。もちろん禁則にはそれ相応の理由があるのですが、実際の楽曲では敢えて禁則を破ることも少なくありません。例えるなら、和声における禁則は格闘家が修行する際に手足に付ける「重り」のようなものです。つまり、和声法の学習段階では禁則で固められた条件下で音を動かす訓練をすることによって、枷が外れた実戦=本当の作曲では自由自在に音を操ることができる、というわけです。とはいえ、和声法を習熟するにはそれなりの時間がかかるため、手軽に和声のエッセンスを取り入れられる作曲テクニックをひとつご紹介したいと思います。

 

スムーズ&スマート

和声法には「できるだけ近いところに移動させる」という基本があります。例えばらび太の編曲では、2小節目に3rdが「ド」を、3小節目には2ndがオクターブ上の「ド」が吹くように書かれていますが、特別な意図がない限り共通音は保留(オクターブ変えたりもせず同じパートに担当)させるのが「できるだけ近いところに移動させる」ことになります。無駄な動きを避け、特定のパートが突出することなく、流れる小川のようにさらさらと、スムーズかつスマートに進んでいくように音を配置していくのが和声的なアプローチというわけです。

 

なお、メロディとベースは例外ですので、補足しておきたいと思います。編曲の場合はメロディが決まっているので、音の移動先に選択の余地はほとんどありません。ベースには根音を演奏させることが多いので、必然的に4度や5度の跳躍が多くなります。これはベースの許容されることで、特別扱い。なお、ここでのベースは "最低音部" という意味です。うさぎ達のケースではバスクラリネットでしたが、オーケストラならコントラバスやチューバ、バンドならエレキベースなどになります。

 

和声法が本領を発揮するのはオーケストラや吹奏楽、アンサンブル、合唱といった「単一パートの集合体」でできている音楽ですが、ピアノやギターのようなコード楽器においても役立つ場面は多くあります。

もし少しでも面白そうだと感じたら、和声法を学んでみませんか?これからの曲作りに役立つこと間違いなしです。

 

 

2018/02/01:  和声法
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